はじめに。この考察記事は多くの人のアドバイスやヒントによって完成しました。
協力してくださった考察民に感謝いたします。
【この考察を始めたきっかけ】
とあるフォロワーさんが射程カバーに関する気になるツイートを呟いていた。
『射程カバーは弾体を大気から守るためだけの物(だからシールドと干渉しない)』
この呟きにより『鉛弾がシールドを貫通する理由を考察するためには、射程カバーに注目すればいいんじゃないか?』と思い付いた。
そして射程カバーの考察を進める内に作中のあらゆる描写が気になってしまい、全五章に及ぶ考察記事になってしまった。
(もし今後の説明で疑問や作中の描写との矛盾がありましたらコメント欄で教えてください。)
【①ワールドトリガー世界に存在する『次元の異なる5種類の物質』】
2.今回の考察の結論をまず初めに以下に述べる。
『ワールドトリガーの世界に存在する物質は5種類に分別される』
(この理屈は後ほどの論理展開に重要になるため覚えていて欲しい)
詳しく説明すると、ワールドトリガーの世界には
①トリオンの壁(トリオン製のものか)
②実体化(質量)の壁(実体(質量)があるか)
③物理的相互作用の壁(物理的に相互作用を及ぼすことができるか)
④可観測の壁(観測できるか)
という4つの壁に仕切られた次元の異なる5種類の物質があると思われる。
作中に登場するトリガーが、これらの階層のどこに位置しているかを図で表した。
中には実体化したトリオンにエネルギーを流し込むタイプのトリガーも多く存在しており、それらのトリガーは『②実体化の壁を跨いでいるグループ』として、ひとまとめにした。
3.(※【説明欄】には非公式解釈を多く含みます。)
4つの壁に仕切られた次元の異なる5種類の物質について、自分の解釈をスライドに詳しく説明していく。
『非トリオン物質』とは玄界に存在する物質と言い換えても良い。
4.この考察における『物質化トリオン』とは作中で『実体を持つ』と言われているトリオンの事である。
今後のスライドにも繰り返し出てくるが、『物質の次元と物質の強度の関係』は、重要な要素であるため頭の片隅においてほしい。
5.『エネルギー体トリオン』とは、作中で『威力』や『攻撃力』と呼ばれているものに置き換えても良いだろう。
そしてこの『エネルギー体トリオン』には『質量と実体が無い』。
6.このスライドの『高次元トリオン』という概念は、今回の考察で重要な位置を占めるのでよく覚えていて欲しい。
作中のトリガーの描写を読み解く中で、『風刃のワカメ』や『遊真の印』など、『目に見えるのに触れない・破壊できないトリオンのグループ』が存在することに気が付いた(遊真の印は発動する前ならオルガノンの斬撃でも破壊されない)。
ベイルアウトの軌跡も攻撃を受けないと明言されており今回の考察では、物理的干渉を受けない性質を持つとして、『高次元トリオン』の位置に置いている。
そして『高次元トリオン』のグループに属するトリオンのいくつかは、『別のトリガーに変化する前の状態(≒プログラムを付与されたトリガーの原料)』という性質を持っている。例えば『風刃のワカメ』は斬撃に変化するし、『遊真の印』は様々な効果を発揮できる。
7.そして5つの物質の中でも最高次元に位置するものがトリオン器官をはじめとした『生体トリオン』。
このトリオンはこれまで説明した物質とは一線を画しており、観測することすらできない性質を持つ。
余談だが『SE持ちは黒トリガー生成の成功率が高い』というQ&Aは、今回考察している『生体トリオン』で説明出来るのでは?と考えている。
SEを持つ人間は器官を通じて『生体トリオン』を観測・操作しており、その存在を知覚できている。
そして黒トリガーの生成には、トリオン器官という『生体トリオンの塊』のコントロールが重要になると思われるが、SEを持つ人間は普段から『生体トリオン』を知覚しているため、黒トリガー作成の成功率が高い…という理屈なのではないだろうか?
(呪術廻戦の虎杖が普段から魂の形を知覚していたから真人の術式が効かなかった理論と同じイメージ、と言えば伝わるでしょうか…?)
8.風刃と遊真の黒トリガーを例にして『次元の異なる5種類の物質』を図解した。
風刃のワカメや遊真の印はどちらも、何らかの条件を満たした時に別の物質に変化している(発動者の意思や実体に触れる等の条件)。
また作中の描写において、それらの『高次元トリオン』は条件を満たすまでは『別の物質から干渉を受けて邪魔されない性質を持つ』様に見える。
【②物理法則を無視する『弾トリガー』の特異性】
9.『高次元トリオン』が別の物質と干渉しない性質を持つと仮定すると、『弾トリガーの特異性』すら説明することができるようになる。
作中において弾トリガーは重力や空気抵抗など、あらゆる物理的干渉を受けずにどこまでも直進している。
そしてその機能を実現しているのは、物理的相互作用をキャンセル出来る高次元トリオンのおかげではないか?
つまり『射程カバー』は『高次元トリオン』なのではないかとの結論に至った。
10.弾トリガーにおける『射程カバー』の役割とは、大気と反応してその身を犠牲にし、空気抵抗をキャンセルすることである。
例えるなら、常温に放置した鉄板の上に氷を乗せて滑らせるイメージだろうか?氷は自身を溶かしながら鉄板との摩擦抵抗をなくし、氷の上に乗せたものをどこまでも運んでいく。
そして弾トリガーが直進する特異性が、『質量がないから』『空気抵抗という物理的相互作用を無視できるから』に依るものとすれば、北添のメテオラが放物線を描く理由すらも説明できる。
単に弾の一部を実体化させて質量を付与すれば良い。それだけで北添のメテオラは重力の影響を受けるようになる。
【③なぜ鉛弾(レッドバレット)はシールドを貫通するのか】
11.そしてようやくこの議論の本題の『なぜ鉛弾はシールドを貫通するのか』について説明したい。
だが、この理屈を説明するためには『次元の異なる5種類』の物質に存在する共通のルールについて順番に説明していかなければならない。
12.まず初めにルール①とルール②。
次元が高いトリオンの方が強いという単純なルールである。
生身では決してトリオン体を破壊できないのも、オフにした弧月の切れ味が0になることもこのルールで説明することができる。(アレクトールのキューブについては別の章で解説する。)
13.そして次にルール③。
このルールはトリガーが干渉できる物質の範囲について説明している。
このスライドでは、各トリガーがその効果を発揮できる『干渉範囲』を図に示している。
いずれのトリガーも『自分の次元以下の物質』に対してのみ効果を発揮できることが分かる。
『グラスホッパーが物質化した物しか跳ね返さない』
『シールドが威力や攻撃力を防ぐ』
『アレクトールがキューブ化できないトリオンの存在』
『鉛弾がシールドを貫通する』
これらの現象はすべてルール③で説明することができる。
14.そして作中のトリガーを検証していくうちに見つけたもう一つのルール④。
『実体への干渉を取り除くことが出来るのかどうか』というルールである。
このルール④は今後の考察で使用しないためあくまで参考程度に頭の片隅にとどめてほしい。
『トリオン兵の触手』及び『トリオン兵の触手により変質したトリオン器官』は、このルール④を技術的に突破できないため、トリオン器官を抜き取られた人間は胸に穴が空いて死んでしまうのである。
15.『生身を傷つけずにトリオン器官を抜き取る黒トリガー(仮)』についてのQ&Aを今回の考察に落とし込むと、
『生体トリオンへの干渉』を行う場合に『実体への干渉』を取り除くことは技術的に難しいと言い換えることができる。
そしてその技術は黒トリガーレベルのチートでないと実現できない、と葦原先生は考えている。
でも似たような発想で、もう少し難易度が低いトリガーなら既に実現している。
例えば『エネルギー体トリオンへの干渉』を行うトリガーから『実体への干渉』を取り除く技術、つまり『シールド』である。
16.ここで閑話休題『シールドの開発歴史』について考察したい。
シールドは昔と比べて性能が上がったというが、では『昔のシールド』はどのようなトリガーだったか考えたい。
結論を言うと、今のレイガストと似た発想で、物質化した盾にエネルギーを流し込むタイプのトリガーだったのではないか?
(この時期のシールドだったら、レイガストと同じく鉛弾を防ぐことができただろう。)
17.『次元の異なる5種類』の物質に存在する共通のルールについて整理できたところでようやく結論『なぜ鉛弾はシールドを貫通するのか』
それは鉛弾を構成する『射程カバー』と『鉛弾』が『高次元トリオン』だからである。
何故シールドを貫通して、実体を持つ物体にだけ都合よく干渉できるのかについて、『ルール③』をおさらいする。
例えば、三次元に存在する人間が、“紙の様な平面(二次元)の物質”に触れる事は容易だが、逆に紙に描いた絵が三次元の人間に触ることは絶対にできない。
つまり『干渉できる』『干渉できない』の決定権は常に、より高次元に位置するトリガーが持っているのである。
『エネルギー体トリオン』で構成されたシールドよりも、鉛弾は次元が高い『高次元トリオン』だから、シールドは鉛弾に干渉できないのである。
また、アニメの鉛弾の描写を着弾シーンを観察すると、鉛弾は着弾してトリオン体の奥深くに浸透してから実体化している。
つまり途中までは鉛弾は実体とすら干渉しておらず、『実体と重なった事を条件に鉛弾が実体化した』と言い換えることもできるかもしれない。
【④”アレクトール”は世界の『理』に干渉するトリガー】
18.『次元の異なるトリオン』の考察を進めていくうちに、『ではアレクトールとはどの様なトリガーなのか?』という疑問が湧いたため考察を進めていく。
レプリカの言葉を引用すると、『ボーダーが使うトリオンの弾丸やシールドと同じ』であるため、アレクトールの生物弾は『エネルギー体トリオン』に分類される。
そして触れたトリオン製の物質をキューブに変化させるが、
『そのキューブは傷一つ付かない』
『キューブを吸収すると使用者は回復できる』
といった具合に、複数のチート性能を発揮していた。
だがそれらの現象は全て『高次元トリオンが持つ特徴』で説明することが出来るのである。
19.生物弾の作用は『トリオン製の物質の次元を押し上げる』事であり、その作用を持つのは他に人間のトリオン器官のみ。
『物質の次元を押し上げることが出来るのは生命が持つトリオン器官だけ』という世界の理を、アレクトールの生物弾は疑似的に再現することが出来るのである。
20.言いたいことを過不足なく表現しようとしたら、凄く判りづらいスライドになってしまいました。『高次元トリオン』を作るためには大量のエネルギーが必要とだけイメージしてください。
21.(熱力学第二法則“風”の現象をイメージしながらスライドを作成しましたが、物理学ガチ勢からはたぶん怒られる図になっています)。
ここスライドで言いたいことは、外部の系から大量のエネルギー補給が無ければ、アレクトールの現象は実現できないという事です。
【⑤『ワールドトリガー世界』の”物質の循環”と、世界の均衡を保つ『何か』の存在について】
22.『次元の異なる5種類の物質』を、その変換が行われる順番に円形に並べると、ある一つの疑問が湧いた。
それは『物質化トリオン』から『非トリオン物質』への変化を引き起こすものの存在が、作中で語られていないことへの違和感である。
人間が『生体トリオン』を作り出すことが出来るのなら、
その逆も然り、トリオンから生命への循環を構成する要素が生み出されるてもおかしくない。
その違和感を最後に考察していく。
23.このスライドの結論『トリガーとは精神エネルギーを現実世界に具現化する技術』である。
葦原先生の前作リリエンタールを読んだことがある人なら一度はこの説が頭によぎった事があるのではないだろうか…?
(『スキャモンの発育曲線』について補足。スキャモンの発育曲線とは、成人時の体組織の成熟度を100とした時の、子供の体の成長度合いを年齢毎に表した曲線である。
『一般型:臓器・身長・体重等』
『リンパ型:免疫力』
『生殖型:生殖器・乳房等』
『神経型:脳や脊髄・神経系・感覚器官等』)
24.作中の至る所に『トリオンとは精神エネルギーである』事を確信させる描写が多いことに気が付いた。これは偶然なのだろうか…?
25.最後にワールドトリガーとは何か?という結論を出したが、自分でも突拍子もない事を言っていると思う。
だが『マザートリガーの役割はトリオンから生命を生み出すこと』とするならば、
それよりも上位に存在する『ワールドトリガーの役割』を考えると、
この結論にならざるを得なかった。
トリオンとは感情や意思とともに体外に発信され、SEを持つ人間はそれを読み取ることができる。
もしワールドトリガーの世界に玄界を創造した『全知全能の神』が存在し、その意思から発せられる『トリオン』を受信できるSEを持つ者が居たのなら、『未来すら視る事が出来る』のかもしれない。
さいごに。この考察記事に疑問が湧いた方、矛盾点を発見した方はコメント欄でお知らせください。