シミュレーション演習マップ分析『水上がホワイトボードに記した図の戦略的意図の解明』

※単行本未収録の情報を記事内で用いていますので、単行本派の方はご注意ください。

※考察を円滑に進めるため、単行本・本誌掲載のページを記事内で引用しています。

※本編で描写された断片的な情報を元に推測しているため、実際のデータと異なる可能性があります。

はじめに

ブログを閲覧いただきありがとうございます。



今回の記事の目標は、水上が4日目朝に残したホワイトボードの図の戦略的意図の解明です。



ジャンプSQ.2023年2月号第229話「遠征選抜試験㉖」(集英社葦原大介)】

この図を見ると敵陣『L字』に狙撃手がいる事や、自陣『東ルート』から攻め上がろうとしている事は何となく読み取れますが、セリフの無いコマだったためそれ以上の意図を汲み取ることはできませんでした。


しかしマップのデータを再現し、シミュレーション演習における地形戦の解像度を上げれば、水上が言わんとしていた事に対して推測を立てる事ができるのではないか?


そう思い記事を執筆しました。


今回の記事ではシミュレーション演習における『トリガーの射程』『マップの構成』『シミュレーションマップ特有の地形戦』について分析を進め、シミュレーション演習への理解を深めようと思いますのでどうぞよろしくお願いします。


(20230303追記)
ジャンプSQ2023年3月号の掲載に合わせて、シミュ③の第3試合(VS村上隊)以降の戦闘範囲特定の記載を追記しました。
こちらの記事を既に読んだ方は以下のリンクから追加コンテンツに飛ぶことができます。

シミュレーション演習③第3試合以降


【1章】ユニット・武器毎の射程に関する分析


まず押さえておきたいのが銃手用トリガーの仕様についてだ。

25巻P43の表を元に作成・補完した銃手用トリガーの仕様説明書

諏訪隊のチュートリアル時に銃手用トリガーの仕様が一部開示されたのでその表に注目してみる。

(セリフ等で隠れてしまった部分については、予想で補完した内容を赤字で記載している。)

上5つの『射線の影響を受ける』という簡素な共通テキストを持ったトリガーは、おそらくアステロイドの事を指している。

BBFで公開済みのアステロイドもちょうど5種類存在するため有力と考えて良いだろう。
(射手、拳銃、散弾銃、突撃銃、機関砲)



そしてそれらの射程に注目すると、射程『8』のアステロイドが3つ、射程『5』のアステロイドが2つある事になる。


ここで射程早見表を振り返ってみる。

25巻P52の内容を元に作成


射程早見表では香取と諏訪の射程が『5』だったため、5種のアステロイドを以下の様に分別できるだろう。


【射程5のアステロイド2種】
拳銃、散弾銃

【射程8のアステロイド3種】
射手、突撃銃、機関砲


次に表の下の方に見える『着弾点の周囲3マスに射撃ダメージを与える。』というテキストを持つトリガーだが、これは明らかにメテオラの説明だ。

ジャンプSQ.2023年2月号第230話「遠征選抜試験㉗」(集英社葦原大介)】

シミュ③のVS北添隊で示されたシミュメテオラのイメージ図とも合致している。


そしてメテオラの射程を見るとこちらも『8』になっており、3種のアステロイドの射程『8』と一致している。

おそらくシミュ演習における弾トリガーの射程はハウンド・バイパーも同じ数値に設定されており、射手タイプなら射程『8』、拳銃なら射程『5』の様に、弾を撃ちだす形式毎で統一されているのだろう。


しかし射手タイプの弾トリガーを使っている三雲、水上、樫尾の射程は『8』でも『5』でもなく、射程『7』となっている。


これには古寺が推測した「ユニットパラメータの影響」が関係しているのだろう。


古寺は武器の威力が『基礎威力×ユニットのパラメータ』という計算式で決定していると予想していたが、同様に弾トリガーの射程にもユニットのパラメータがいくらか影響しているのではないだろうか?


三雲、水上、樫尾はいずれもトリオンが2・5・5と低い上、射手タイプの弾を使っているためトリオン能力の低さが弾トリガーの射程に与える影響は顕著なはずだ。


つまりこの3人のシミュ射程が『7』である理由について以下の推測が成り立つ。


●射手タイプの弾トリガーの『基礎射程』は『8』だが、ユニットのトリオンが一定以下の場合に射程をマイナス補正する仕様がある



次にBBFパラメータにおける射程と、シミュ演習における射程の関係について考えたい。

以降は射程早見表で確認できるシミュ演習における射程の事を『シミュ射程』。BBFのキャラクターパラメータに記載された射程の事を『BBF射程』と呼称する。


弾トリガーを使うキャラに関して射程を整理すると以下の通りになる。


●シミュ射程がBBF射程のちょうど倍になっているのが照屋、荒船
●シミュ射程がBBF射程の2倍マイナス1となっているのが三雲、諏訪、香取

ここから考えられる射程の法則は以下の通り

【基本】
シミュ射程=BBF射程×2
(該当者:照屋、荒船)


【トリオンの低さや銃の構造等、射程にマイナス補正がかかる要因がある場合】
シミュ射程=BBF射程×2-1
(該当者:三雲、諏訪、香取)


だがこの法則を樫尾太刀川に当てはめた場合に違和感が生じてしまう。



【①樫尾の射程の違和感について】

アタッカー寄りの弾トリガー使いはBBFで基本的に射程が『3』のため、樫尾のBBF射程も『3』が有力だろう。

だがその場合樫尾のシミュ射程が『7』である事と、『シミュ射程=BBF射程×2-1』という法則に矛盾が生じてしまう。


この矛盾については、『シミュレーション上では弾トリガーのチューニングが出来ない仕様になっている』と考えれば辻褄は合う。


弾トリガー使いのBBF射程の値は、その人が好んで用いるチューニングの結果を反映していると自分は考えている。

例えば歌川や小南、熊谷等はBBF射程が3だが、チューニング次第でBBF射程4の弾を使う事もできるだろう。
だが彼らにとって中距離は得意な距離ではないため、弾を使う時は中距離の隙を補う程度の射程に留めているのだろう。


もしシミュ演習に弾のチューニングが無い場合、それらの隊員毎の好みや意図が反映されない事になる。


その場合シミュ射程は『弾を打ち出す方法(≒銃の形)』と『ユニットのトリオン値』だけで一様に決定される事になるだろう。


つまりアステロイド(射手)を使うユニットのシミュ射程は、BBF射程とは無関係に『8』が基本となると思われる。

そこにトリオンの低さによる射程のマイナス補正を加えた結果が、三雲・樫尾・水上のシミュ射程『7』なのだ。

その様に考えれば、先ほど示した射程の法則と樫尾のシミュ射程7の間にある違和感を説明できるだろう。




【②太刀川の射程の違和感について】

太刀川のBBF射程は『2』である一方、射程早見表でもシミュ射程が『2』であるため、太刀川のユニットは『シミュ射程=BBF射程×2』という法則から外れている。


しかし以下の様な仮定を立てれば太刀川も法則に組み込むことが可能だ。



①射程早見表のシミュ射程は、その武器の通常攻撃時の射程を元に設定されている。

②弧月の通常攻撃時の射程をBBFで表現する場合その値は『1』となる。

③『旋空弧月』は上記で言う所の『通常攻撃』には含まれないため、射程早見表に反映されない。

④『弧月』と『旋空』を装備したユニットのみ、固有コマンドの選択肢に『旋空弧月』が追加され、そのコマンドを選択した時のみ旋空弧月に対応した射程範囲(4マス程度?)になる。


つまり太刀川のシミュ射程『2』とは旋空弧月の射程を反映した結果ではなく、弧月の通常攻撃時のBBF射程『1』を2倍にした値なのだ。

この様に考えれば『シミュ射程=BBF射程×2』の法則に太刀川を組み込むことができる。


そして『何故旋空弧月を射程早見表から除外し特別扱いするのか』という理由については仮定④が関係してくる。


④について、なぜこのような仮定を立てたか説明する。

シミュ演習のチュートリアルでは『行動設定』の項目一覧が表示されたが、シミュ演習で用いられた全ての『コマンド』が網羅されているわけでは無い。

その一覧に表示されなかった『コマンド』の具体例を挙げると以下の四つだ


・フルガード(25巻P55)
・全周シールド(230話)
・隠密行動(25巻P89)
・幻踊弧月(229話)


これらのコマンドが存在するのは恐らく『固有コマンド』の中だろう。

その様に考えた場合、『固有コマンド』の中に表示される行動にはある共通点が存在する。

それは『特定のトリガーを装備した時のみ選択可能になる』という特徴だ。

『固有コマンド』内の行動選択肢の予想(三雲・米屋の場合)

例えばシールドを2枚装備した時のみ『フルガード』のコマンドが使用できる様になり、バッグワームを装備した時のみ『隠密行動』のコマンドが解放される、という具合にだ。


これらの『コマンド』はユニットが装備しているトリガーによって選択肢が増減するため、全ユニット共通の『行動設定』一覧の階層に表示されないのは理に適っている。


この様な仕様がシミュ演習の『行動設定』にあるならば、『隠密行動』等が行動設定一覧に表示されなかった理由になるだろう。



よって特定トリガー装備により実現可能な行動の多くは『固有コマンド』という形で整理される可能性が高く、『旋空弧月』も『コマンド』になっていると考えられる。


そして『何故旋空弧月を射程早見表から除外し特別扱いするのか』という理由がここにある。


基本的にシミュ演習の戦闘は射程範囲に敵が入ると自動的に行われ、その射程範囲は装備している武器によって固有の値であり、その固有値が射程早見表に反映されているのだろう。


しかし『旋空弧月』が『コマンド』であるならば、コマンドを選択していないターンには発動しない事になる。


つまり弧月の射程は『旋空弧月』を使用するターンとそうでないターンで異なる値になる筈なのだ。


ゲーム開発者の視点に立つなら『射程早見表』の様なプレイヤーが参照する表には、その武器のデフォルト値を格納しておきたい。
よって弧月で通常攻撃するときの射程が射程早見表に反映されるべきだと思う。


太刀川の射程早見表におけるシミュ射程『2』が弧月の通常攻撃に対応した数値だと考えた理由は以上だ。


ここから想定されるアタッカーの射程は次の通りだ。

●刃トリガーのシミュ射程は2(BBF射程に換算すると1)
ただし『旋空弧月』を使用した場合、2より大きくなる可能性あり。





ここまでの分析で各トリガーのシミュ射程の傾向がある程度わかったので、銃手用トリガーの性能を改めて振り返ろうと思う。

25巻P43の表に更なる予想を追記


射程『5』の拳銃・散弾銃の内、本編でコマンドっぽい要素があったのは散弾銃の『先読み散弾銃』だけなので3行目が散弾銃だろう。


射程『8』のアステロイドには消費行動力『2』で威力が低いものと、消費行動力『3』で威力の高い物がある。

両手がフリーで取り回しが軽く、消費行動力が『2』と低く設定されている1行目のアステロイドが射手タイプ。
実体化しているため取り回しが重いが、射程ボーナスがある分威力重視のチューニングも可能な4行目のアステロイドが突撃銃。
基礎威力が『15』と最も高いのが機関砲ではないだろうか。


表から確認できる要素だけでトリガーの性能を比較すると、『散弾銃≧拳銃』『機関砲≧突撃銃』の様に完全上位互換の関係が生じてしまっている。

トリガーセットを変更可能な関係上、完全上位のトリガーを作ってしまうと演習の試合内容から多様性が失われてしまう。
それを防ぐためにユニット毎に『適正スキル』を設定し、完全上位のトリガーが生まれない様にバランス調整がされているのだろう。





最後に確認しておきたいのが、『シミュ射程がシミュレーション上でどの様に反映されているか』についてだ。

シミュ射程とマスの関係については、シミュ①のVS水上9番隊にヒントがあるのでそこに注目してみたい。

ワールドトリガー25巻P56(集英社葦原大介)】
25巻P56の内容をマップ上で再現

この図から分かる様に、敵陣『L字』から隠岐を狙撃したスナイパーの扇の範囲は、マスで表現するとおよそ14マスの距離をカバーしている。

そして当真(水上隊)はマップ奥深くに鎮座していたため、見張りの役割を果たしていたのは十中八九荒船ユニットだろう。

図で示した扇の範囲はおよそ14マスであり荒船のシミュ射程14と一致している。

つまりシミュ射程は攻撃できるマスの範囲をそのまま表した値だと考えられる。




以上の分析から読み取れるトリガーの射程に関する仕様は以下の通りだ。


【トリガーの射程に関する仕様】
 
①トリガーのシミュ射程はBBF射程の2倍が基本
(狙撃手も恐らくこれに当て嵌まる)
 
②刃トリガーのシミュ射程は『2』
(旋空弧月やその他スキルを伴う場合それ以上になる可能性あり)
 
③拳銃・散弾銃のシミュ射程は『5』
 
④弾トリガーのシミュ射程は基本『8』
(射手タイプかつトリオンが低い場合に7が有力)
 
⑤シミュ射程の数値は演習マップにおけるマス数に対応している。

以降ユニットのシミュ射程の検討が必要になった場合は、上記の推測を元に仮定していこうと思う。


ここまでの分析に基づきトリガーの射程の傾向を分類すると、シミュ演習における『射程範囲(レンジ)』は以下の4種類に分類する事ができる。

シミュ演習におけるトリガー毎の射程の分類

今回の記事では便宜上武器トリガーの射程を以下の4種類に分類する。
(各レンジの警戒範囲は諏訪隊のチュートリアルの描写から測定した。)


【ショートレンジ】:刃トリガーの射程。警戒範囲が最も広い。
【クロスレンジ】 :近距離で用いる銃の射程。
【ミドルレンジ】 :中距離から射撃可能な銃の射程。
【ロングレンジ】 :狙撃手の射程。警戒範囲がかなり狭い。

ロングレンジに関して『シミュ射程=BBF射程×2』を踏まえると、上限は奈良坂の24マスだろうか?


最後に武器のレンジが分類できた所で、『部隊毎に得意なレンジはどこなのか?』という事を定量化しておきたい。

部隊毎に特定のレンジに戦闘参加可能な隊員の数を計上

上記の表は部隊毎に特定のレンジに戦闘参加可能な隊員の数を集計した表だ。
数値に関しては以下のルールで集計している


●そのレンジの武器を持っている隊員1人につき1を計上
●複数のレンジの武器を所持している隊員はそれぞれのレンジに0.5ずつ分割して計上
●各部隊で最も得意なレンジを赤字で記載(数値が同じ場合に隊員の強さを考慮)

(武器毎の習熟度や隊員の強さを考慮せず数値を集計したため多少違和感があるかもしれないが、部隊毎の得意レンジの傾向を確認する事はできるだろう。)


この部隊編成のバランスを見て『編成的にアタッカーが欲しいな』という意見を持った東さんは、編成にバランス志向を持った指揮官と言える。


また、この表を見て改めて感じることは、諏訪7番隊がクロスレンジにおいて最も秀でた部隊だという事だ
つまり諏訪7番隊が部隊の強みを押し付けるためには、『敵アタッカーの火力を殺しつつ』『ある程度まとまった距離でクロスレンジの火力を集中させる』事が重要になるだろう。

シミュ演習③で諏訪7番隊は、隊長経験を持つ3人がそれぞれ分隊を指揮する事で複雑な連携ができる陣形を組んでいた。

その陣形では『前衛がレイガスト4枚で敵アタッカーを抑えつつ』『後衛の香取・諏訪がまとまった配置で射撃可能』になっている。

つまり諏訪7番隊の強みを最大限生かすことができる状態になっているのだ。

三雲が提案した『分隊で陣形を組む作戦』は諏訪7番隊における最適解の一つだったと言えるだろう。


【2章】シミュレーション演習におけるマップの分析

この章では『マップの大きさ』『マップ内の建物の高さ』『各試合が行われた範囲の特定』に焦点を当て話を進めて行こうと思う。

マップの大きさの分析

左:初期マップ【ワールドトリガー25巻P13(集英社葦原大介)】右上:シミュ②のマップ【ジャンプSQ.2022年9月号 224話『遠征選抜試験㉒』(集英社葦原大介)】右下:シミュ③のマップ【ジャンプSQ.2023年2月号 230話『遠征選抜試験㉗』(集英社葦原大介)】

シミュ①~シミュ③のマップの大きさが分かる描写をそれぞれ抜粋し、追加されたタイミング毎に色分けすると以下の様なマップになった。

戦闘シミュレーション演習に用いられているマップの再現

シミュ演習① 縦32マス×横32マス
シミュ演習② 縦34マス×横34マス
シミュ演習③ 縦35マス×横36マス

マップの形はやや縦長に感じていたが、実際は縦にも横にもほぼ同じ数のマスが並んでいる事が分かった。
(六角形を敷き詰めた時、マスの中心間距離の縦横の比は√3:1.5であるため縦長に見えたのだろう。)

そしてシミュ演習のマップにおいて最も重要な要素が、建物の配置が点対称である事だ。

建物の大きさや配置、画面に表示された屋根の模様や屋上のオブジェクトまで、マップ中央を中心に全ての要素が点対称になっている。

マップが対称で自陣敵陣の差が無くなる事で、シミュ演習は純粋なユニットの性能やプレイヤーの戦術眼の勝負になり、ある意味公平に設定されていると言えるだろう。

マップの用語定義と分類について

マップの大きさが分かった所で次に進めたいのが、マップ内の建物や場所の用語整理だ。

特徴的な建物群の名称は修発案のホワイトボードマップに記載があるのでそれを元に用語を定義する。

ワールドトリガー25巻P84(集英社葦原大介)】

この図は25巻P84にて隊員間のコミュニケーションを統一するために諏訪7番隊で導入されたマップだ。

この図にひと手間加え、マップの内容を補完した図が以下の通りだ。

諏訪7番隊のホワイトボードマップの補完

先程示した通りシミュ演習のマップが点対称である事を踏まえると、自陣側にも『L字』や『タワー』が存在する。

更にもう一つ、今回の記事内に何度も出てくる『三連民家』と言うオリジナルの建物名称を追加した。


後ほど詳細に説明するが、この『三連民家』は特徴的な建物の並び方をしているため、シミュレーションの戦闘描写を分析する上で非常に役に立つのだ。

マップ内建物の高さの分析


次に整理したい用語が建物の屋根形状についてだ。

シミュレーションの画面上に表示されている屋根形状と、実際の戦闘描写に出てくる建物の屋根形状は一致しているため、戦闘が行われている地点を特定するのに非常に有益な情報となる。

シミュ演習のマップ内に存在する建物を屋根形状で比較すると大まかに三パターンに分類する事が出来る。

屋根形状の分類とその具体例【ワールドトリガー25巻P58(集英社葦原大介)】

大まかな傾向として勾配屋根は高さが低く、陸屋根は3階建て以上の建物が多い。

MAP上の建物にはそれぞれ『高さ』が設定されており、高い場所に上るとユニットの視界が広がり偵察や狙撃に有利になるため、シミュ演習マップにおける『建物の高さ』という要素は地形戦を理解するために非常に重要だ。


初日の第1試合ではグラスホッパーの仕様解説に絡めて『高い建物に上る事のメリット』や『その行動力コスト』、『建物毎に「高さ」が設定されている事』が紹介されていた。


建物の『高さ』が具体的な数値として明示されたのは一部の建物のみだが、それらの建物群を観察するとその数値には明確な根拠が存在している。

左:建物の高さ設定の説明【ワールドトリガー25巻P51(集英社葦原大介)】右上:対応する建物群の見た目【ワールドトリガー25巻P54(集英社葦原大介)】

『高さ』の数値が描写されたコマとそれに対応した実際の建物を比較してみると、『高さ』の数値と『建物の階数』は全て一致している。

先程紹介した『三連民家』がちょうど隠岐の左側に見えているが、3軒の民家に挟まれた2つのガレージと、『高さ』の数値『2➡1➡2➡1➡2』はしっかり対応している。
ガレージの屋根は1階建て相当の高さにあるため『高さ』の数値が『1』に設定されたのだろう。

つまりシミュレーション演習における『建物の高さN』とは『N階建て建物に相当する高さ』を表しているのだ。



建物の見た目から『高さ』を特定できるという事は、戦闘描写の背景建物を観察すれば他の建物の『高さ』も分かるという事だ。


よって次はシミュレーション演習で戦闘が行われた場所と背景に写る建物の観察を行う。


シミュレーション演習における戦闘描写の場所特定

これからは『戦闘描写のコマの背景に写った建物の高さの特定』と、『戦闘が行われた範囲の特定』を同時に進めて行く。

シミュレーション演習①

まずはシミュレーション演習①のVS水上隊の描写からだ。


シミュレーション演習① 第1試合
諏訪7番隊 VS 水上9番隊

ワールドトリガー25巻P54(集英社葦原大介)】
ワールドトリガー25巻P54(集英社葦原大介)】
ワールドトリガー25巻P64(集英社葦原大介)】
シミュレーション演習① 第1試合 諏訪7番隊 VS 水上9番隊

コマの背景には様々な建物が映りこんでおり、窓の数から建物の階数を特定する事が可能だ。
各コマに写っているおおよその範囲を色枠で囲い、『高さ』が特定できる建物には数値を落とし込んだ。


中には建物の一部だけしか写っていない所もあるが、アイレベルとパースから逆算して建物の高さを特定する。


そして照屋がフルガードしたコマの足元をよく見てみると中央分離帯を思わせる白線が存在している。
『大通りには中央分離帯がある』という情報は今後特定を進めて行くにあたって貴重な情報なので頭の片隅に留めておく。



シミュレーション演習① 第2試合
諏訪7番隊 VS 村上10番隊

ワールドトリガー25巻P78(集英社葦原大介)】
シミュレーション演習① 第2試合 諏訪7番隊 VS 村上10番隊


ユニットの配置を行う時はマップの下側を自陣、上側を敵陣で統一する。
(ただしマップは点対称であるため、敵陣自陣の位置関係がまるっきり反対になっている場合がある。)


コマに写ったユニットの位置関係や隊員のポジションを元に、『スナイパーが居るのは自陣寄りの建物だろう』『陣形をしっかり組めるのは自陣寄りの時だろう』といった判断基準で敵陣自陣を予想していく。




シミュレーション演習① 第3試合
諏訪7番隊 VS 歌川1番隊

ワールドトリガー25巻P78(集英社葦原大介)】
シミュレーション演習① 第3試合 諏訪7番隊 VS 歌川1番隊

高さ4のL字型の建物は『L字』と『うらL字』の2種類存在するが、風間が隠れている建物は3階建て以上の高さであり、この位置関係に該当するのは『L字』と『タワー』に挟まれたこのエリアだろう。




シミュレーション演習① 第4試合
諏訪7番隊 VS 古寺6番隊

ワールドトリガー25巻P79(集英社葦原大介)】
ワールドトリガー25巻P81(集英社葦原大介)】
シミュレーション演習① 第4試合 諏訪7番隊 VS 古寺6番隊

古寺6番隊との戦闘位置は諏訪隊が『休み』の時の回想シーンからある程度絞る事ができる。
画面奥に向かって勾配屋根➡陸屋根➡陸屋根の配置になっている事から、ダイジェストのコマは図中青枠だろう。


この2つのコマのユニットの配置を見比べると、ある程度試合展開を予想することができる。


近接連携を持つ木虎奥寺のセットを2つ組み、狙われやすい大通り沿いのルートには護衛の三浦を先頭に置き三雲2体の挟み撃ちを狙っていた。
しかし大通り沿いのルートで弾の足止めを食らい挟み撃ちは失敗に終わったため、西ルートを南下する木虎奥寺はもう1ブロック南の通りから三雲を狙う作戦に変更した。
バッグワームで潜伏させていた風間を用いて西ルート沿いを警戒していた隠岐を落とし、味方の援護が薄くなった三雲2体を木虎奥寺の近接連携で撃破。

おそらくこの様な試合展開だったのだろう。




シミュレーション演習① 第5試合
諏訪7番隊 VS 二宮8番隊

ワールドトリガー25巻P79(集英社葦原大介)】

このコマは情報が少なく該当する建物配置が多かったため、候補を3つ用意してどれが一番違和感が少ないか検討を行った。

シミュレーション演習① 第5試合 諏訪7番隊 VS 二宮8番隊

候補①~③にはそれぞれ違和感があるものの、狙撃の方向に狙撃に適した『タワー』がある事から『候補②』が最も有力だと判断した。





シミュレーション演習① 第6試合
王子2番隊 VS 歌川1番隊

ワールドトリガー25巻P89(集英社葦原大介)】
シミュレーション演習① 第6試合 王子2番隊 VS 歌川1番隊

続くP90のコマで決着時の画面が表示されていたが、自陣東ルート周りのコマが明るくなっていたため、試合は王子2番隊自陣の東ルート周囲で行われていたと予想する。




シミュレーション演習②


シミュレーション演習② 第1試合
諏訪7番隊 VS 北添4番隊

【現在検証中】
建物周囲の塀の模様を分類できれば、戦闘が行われた場所の特定はおそらく可能。




シミュレーション演習② 第2試合
諏訪7番隊 VS 来馬5番隊

ジャンプSQ.2022年9月号 224話『遠征選抜試験㉒』 (集英社葦原大介)】
シミュレーション演習② 第2試合 諏訪7番隊 VS 来馬5番隊


シミュレーション演習② 第3試合
諏訪7番隊 VS 水上9番隊

ジャンプSQ.2022年9月号 224話『遠征選抜試験㉒』(集英社葦原大介)】
シミュレーション演習② 第2試合 諏訪7番隊 VS 水上9番隊

4階建てのL字型の建物の内、正面に勾配屋根が存在するのは『うらL字』のみ。


【20230507訂正】

【20230507訂正】シミュレーション演習②第2試合 諏訪7番隊VS水上9番隊

(20230507訂正) 224話『遠征選抜試験㉒』(ジャンプSQ.2022年9月号)の描写により、『うらL字』は高さ4の建物でなく、高さ3である事が判明。前回作成したVS水上隊の戦闘範囲の推測に誤りがあったため修正を行った。



シミュレーション演習② 第4試合
諏訪7番隊 VS 村上10番隊

ジャンプSQ.2022年9月号 224話『遠征選抜試験㉒』】
シミュレーション演習② 第4試合 諏訪7番隊 VS 村上10番隊

中央分離帯と思しき白線が画面奥の方に見えるため、背景奥に見える4階建ての建物は『L字』で間違いない。
正面に『L字』がありつつ香取が奇襲できる横道があるのはこの配置のみだ。


そしてこのコマで最も気になるのが、香取のすぐ後ろの建物の屋根形状と『高さ』に違和感がある事だ。


他のコマの描写と見比べるとこの建物は『高さ2』の筈だが、このコマでは建物越しに向こうの景色が見えるため2階が存在しない建物だ。


よく見ると屋根が真四角の形状で、まるで2階部分が綺麗に消え去ったような形状だ。


そうなると考えられる可能性は一つ、メテオラにより建物高さが『1』減少した可能性だ。


村上・熊谷、援護の蔵内?の3人掛かりで三雲2体を追い詰める村上隊だったが、『8屋根』の北にはちょうど死角になる脇道が存在する。
奇襲される可能性を察知しメテオラで更地にして視界を広げようとしたものの、高さ『2』の建物を破壊するためにはメテオラを二発撃ち込む必要がある。
既に一発打ち込み建物高さを『1』減らしたものの一手遅く、既に香取が回り込んでおり村上を仕留めた。

そういう試合展開だったことが予想される。
(生存ユニットを見ると村上は三体とも生き残っているがただの誤植だろう。)




シミュレーション演習② 第5試合
諏訪7番隊 VS 二宮8番隊

ジャンプSQ.2022年9月号 224話『遠征選抜試験㉒』】

このコマにはあまりにもヒントが少ないため、シミュ②とシミュ①の生存ユニットから予想できる試合展開の差に注目したメタ的な視点で位置を予想してみる。


シミュ①のVS二宮隊での諏訪隊生存ユニットは隠岐×2。

一方シミュ②の生存ユニットは香取×2と隠岐×2、宇野の五体だ。


この試合結果の差について狙撃手に注目すると、シミュ①は狙撃手が全員生存しているが、シミュ②は狙撃手すらメテオラの餌食になっているとも言える。

つまりシミュ②では、諏訪隊の狙撃手がいる自陣深くまでチカオラに攻め込まれたのではないだろうか。


シミュ②終了後二宮は雨取に『昨日よりはいい動きだった』と褒めていたが、初日よりも積極的に爆撃に勤しんだ様子を見てそう言ったのかもしれない。


よってシミュ②の戦闘はシミュ①の時よりも自陣寄りで行われていたと考え、その条件に当てはまる範囲を検討する。


画面上では2階建て勾配屋根が二軒と、狙撃手の足元に陸屋根っぽい形状の瓦礫が確認できる。


勾配屋根を『三連民家』、陸屋根を『L字』とすると、シミュ②が行われたのはこの範囲では無いだろうか。
『L字』は高さが『4』であり狙撃手が潜伏するにはちょうどいい建物であるため、隠岐と佐鳥が居てもおかしくないだろう。

ジャンプSQ.2022年9月号 224話『遠征選抜試験㉒』】



シミュレーション演習② 第6試合
諏訪7番隊 VS 古寺6番隊

ジャンプSQ.2022年9月号 224話『遠征選抜試験㉒』】
ジャンプSQ.2022年11月号 226話『遠征選抜試験㉓』】
シミュレーション演習② 第6試合 諏訪7番隊 VS 古寺6番隊



シミュレーション演習② 第7試合
諏訪7番隊 VS 歌川1番隊

ジャンプSQ.2022年9月号 224話『遠征選抜試験㉒』】
シミュレーション演習② 第7試合 諏訪7番隊 VS 歌川1番隊



シミュレーション演習② 第9試合
諏訪7番隊 VS 若村11番隊

ジャンプSQ.2022年9月号 224話『遠征選抜試験㉒』】
シミュレーション演習② 第9試合 諏訪7番隊 VS 若村11番隊

笹森はかなり高い角度から射撃を3発受けているが、この高低差で弾が飛んでくるのは角度的に『うらL字』からしかありえない。
また、笹森から『うらL字』まで10マス程度以上離れているため、銃手用トリガーの射程範囲外だ。


よって笹森は狙撃を複数回受けていたことになるが、諏訪隊の生存ユニットを見るに可能性としては以下のいずれかだろう。

隠岐×3にイーグレットの集中砲火を食らった
隠岐×1にライトニングの連射を食らった
隠岐×1と佐鳥のツインスナイプを食らった


試合結果を見ると笹森は1体落とされているので、この狙撃×3を受けた笹森が落とされた可能性が高いと思う。
つまり威力の高いイーグレットを複数回受けたせいでシールドを割られ、笹森は落とされてしまったと考えた方が自然だろう。


この試合で香取は3体がかりでヒュースを落とすという思い切った行動をとっており、もしかすると隠岐3人がかりで笹森を落とす作戦もあったかもしれない。


3日目朝にヒュースは諏訪7番隊の事を『動きが読めず余裕勝ちか大負けのどちらかになる相手』と言っていたが、その予想通り諏訪7番隊の思い切った作戦に嵌められ若村11番隊は大敗する結果となった。

シミュレーション演習③

そしていよいよシミュレーション演習③の戦闘描写の検証に移る。
この日は隊員のユニットが5体ずつ、ヘルプユニットが+4体の計24体がかりの戦闘となり、シミュ②までの戦闘に比べマップ内のユニットの密度が高いため、これまで以上に数の力が重要となる。

つまり多くのユニットが火力を集中させやすい弾トリガーの重要度が増すと考えられる。


ヒュースも言っていた通り、ユニットが増えるほど合計トリオンの差も大きくなるため、撃ち合いが得意な部隊はより一層弾トリガーでの削り合いを選択すると思われる。

よってシミュ③ではこれまで以上に射撃戦が激化するだろう。


現時点でVS柿崎隊、VS北添隊の戦いが本編で描かれているが、特にVS柿崎隊の試合内容はシミュ演習③の戦闘の傾向を如実に表しているのでないか?と個人的に感じている。


そう感じる理由について、今後の試合で繰り広げられるだろう地形戦を予想を交えて語っていこうと思う。


シミュレーション演習③ 第1試合
諏訪7番隊 VS 柿崎3番隊

ジャンプSQ.2023年2月号 230話『遠征選抜試験㉗』(集英社葦原大介)】
ジャンプSQ.2023年2月号 230話『遠征選抜試験㉗』(集英社葦原大介)】
ジャンプSQ.2023年2月号 230話『遠征選抜試験㉗』(集英社葦原大介)】
シミュレーション演習③ 第1試合 諏訪7番隊 VS 柿崎3番隊

各コマにはヘルプユニットが戦いに参加している描写が含まれているため、どの分隊が戦っているシーンなのか確定させることができる。


そしてVS柿崎隊の描写で特に注目したいのが『試合開始から3ターン目までの戦闘』のコマだ。

ジャンプSQ.2023年2月号 230話『遠征選抜試験㉗』(集英社葦原大介)】


VS柿崎隊との戦闘は1~3ターン目までは中央の通りを挟んでの射撃・狙撃の応酬となっていた様だ。



『何故中央の通りで射撃戦が繰り広げられたのか』『両部隊のユニットがこの範囲に密集していたのは何故か』

理由はおそらくミドルレンジの射程が『8』だからだ。


この事を図で表すと以下の様になる。

シミュ演習③で顕在化すると思われる南北8マスの『射撃戦線』

弾トリガーの射程は多くが7~8マス、つまり射撃戦を重視する場合は多くの部隊にとって中通りを中心とした南北8マスのエリアが主戦場となるだろう。


都合よく三連民家ラインの建物が塹壕の役割を果たす位置にあるため、射撃戦での連携を重視するならやはりこの範囲にユニットを配置するのが適当だろう。


シミュ演習③の戦いにおいて、この『射撃戦線』をどう利用し攻略するかが勝敗を分ける分水嶺になると思われる。


ミドル・ロングレンジに長けた部隊は如何にしてこの『射撃戦線』で敵を迎え撃つか、ショート・クロスレンジに長けた部隊は如何にしてこの『射撃戦線』を突破して相手の懐に潜り込むかが重要になるだろう。


VS柿崎3番隊の試合を振り返ると1~3ターン目まではミドルレンジ以上の戦い、4~6ターン目はクロスレンジ以下の戦いだったと言い換えることもできる。
諏訪7番隊が柿崎3番隊に勝利まであと一歩の所に迫る事ができたのは、諏訪7番隊の得意なクロスレンジに持ち込むことができたのも大きかったのだろう。




シミュレーション演習③ 第1試合
諏訪7番隊 VS 北添4番隊

ジャンプSQ.2023年2月号 230話『遠征選抜試験㉗』(集英社葦原大介)】
ジャンプSQ.2023年2月号 230話『遠征選抜試験㉗』(集英社葦原大介)】
シミュレーション演習③ 第2試合 諏訪7番隊 VS 北添4番隊


香取分隊の先頭の修が大通り沿いの建物残骸を通過した時に背後から爆発を受けているので、香取分隊への着弾地点は青枠の通り。
香取のシールドが粉砕しているので香取に直撃したのだろう。


三雲分隊の背後に高さ『1』の勾配屋根が見えるので三雲分隊の配置は恐らく緑枠の周囲。


それぞれのコマの背景に写っている建物の配置と、各分隊が進行したルートを比較するとこのような位置関係・進行方向になった。


諏訪分隊に関して気になるのが、『諏訪分隊が西ルートを進行していた事』と『背景に見える建物との位置関係』を考慮すると、諏訪分隊が敵陣から南下している様に見えるのだ。


画面に写る建物は右手に2つあり、
『直角の角が面取りされた高さ2の陸屋根』➡『高さ3の陸屋根』
という順番に並んでいるが、諏訪分隊は西ルートを進行していたため、該当する建物の並びは赤枠で囲った範囲のものしかない。

諏訪分隊が走っている方向が画面奥に向かってでなく画面手前だったら矛盾は無かっただろう。





次に検討したいのが『擲弾銃メテオラの射程は何マスなのか』という事だ。


各コマの爆発エフェクトや射撃放物線に注目すると、香取分隊に5発、三雲分隊に2発、諏訪分隊に3発のメテオラが撃ち込まれている。

3分隊それぞれに5発ずつ撃ち込めなかった理由は、全ての北添の射程範囲に入ったのが香取分隊だけだったからだろう。

逆に言えば、三雲分隊の位置は3体の北添にとって射程範囲外だったと考えられる。
この条件を用いれば擲弾銃メテオラの射程の範囲を絞る事ができる。

各北添から各分隊へのメテオラ着弾地点までのマス数

各北添から各分隊への着弾地点までのマス数を数えてみるとこの表の通りとなった。


より近くに居る北添を発射候補として、各分隊の被弾数に応じて着弾地点が近い順に赤字で表記した。

すると擲弾銃メテオラの射程がちょうど『13』マスの場合にコマの描写と一致する事が分かった。

ただしこの分析は各分隊への着弾地点が完全一致している場合のマス数になっているため、着弾地点の誤差を1マスまで許容するなら、擲弾銃メテオラの射程は『12』でもいい事になる。

諏訪分隊のメテオラ着弾シーンを見ると、建物に直撃している物と道路に直撃している物があるため、着弾地点に誤差が生じていてもおかしくない。

1章で考察した『シミュ射程=BBF射程×2』の法則を考慮すると、北添のBBF射程は『6』のため、擲弾銃メテオラのシミュ射程を『12』マスと考えた方が結論が綺麗になる。

よって今回の記事では、擲弾銃メテオラのシミュ射程を『12』だと結論付ける。




マップ内建物の『高さ』の分析結果

背景に写っていた建物の高さ情報を一つのマップに集約すると下記の通りとなった。

マップ内建物の『高さ』の一覧

自陣敵陣は点対称のため、片方の建物高さが分かれば反対側の建物高さも確定する。

その結果四隅の建物以外建物の高さを確定する事ができたため、次の章ではこのマップを用いてシミュレーション演習における地形戦の分析を進めて行こう。

【3章】水上のホワイトボード図の解明とシミュレーション演習における地形戦の分析

ここからは今回の記事の本題『水上がホワイトボード記した図の戦略的意図の解明』を進めて行く。

まずは水上が描いた図を、先程作成したマップに落とし込んでいこう。

水上がホワイトボードに記した図の再現


水上が記した図や記号のいくつかは、修が発案した諏訪7番隊のホワイトボードマップと共通している。

例えば図の縦横に引かれた二重線はそれぞれ『大通り』と『中通り』の範囲を恐らく示しており、右下の大きな半円は『タワーうら』の範囲を想起させる。

また、特徴的な建物である『L字』と『タワー』が敵陣に記され、それぞれの建物の上に敵ユニットと思しき『点』があり、そこからロングレンジの扇が伸びているため、この図では敵から狙撃を受ける事を説明しているのだろう。

ここで一旦図の中で記されているユニットを整理したい。


●敵ユニット
【ユニットA】 敵陣『L字』からロングレンジの扇を左右に展開する敵ユニット
【ユニットB】 敵陣『タワー』にいる敵ユニット


●味方ユニット
【ユニットC】 自陣西ルート沿いの孤立した味方ユニット
【ユニットD】 自陣『L字』に居る味方ユニット
【ユニットE】 自陣『中通り』以南からミドルレンジを展開する味方ユニット。扇が敵陣『8屋根』をかすめているため射程範囲は『7』マス?
【ユニットF】 『タワーうら』を思わせる円の端から、敵陣『8屋根』あたりまで矢印が伸びた味方ユニット。矢印はおよそ『15』マス程度。
【ユニットG】 自陣『東ルート』から敵陣『8屋根』まで矢印が伸びたユニット。矢印はおよそ『10』マス程度



敵陣には狙撃手が2体、自陣には味方が5体描かれている。

内味方ユニットの4体は東ルートに固まり『東ルート』を進行している。

西方向からの狙撃を警戒してそれを避けながら東ルートを攻めあがる、そんな作戦を示している様にも見える。



『何故狙撃手は敵陣西側に居るのか』『何故東ルートから味方は攻めあがっているのか』


この理由にはこれまでに分析したマップの地形戦の要素が深く関わっている可能性がある。


シミュレーションマップはマップ中央を中心に点対称であるため、『敵陣/自陣』の尺度で差が生じる事はない。


だがしかしマップは東西対称ではない、つまり『東ルート』から攻めあがる場合と『西ルート』から攻めあがる場合で戦略的に大きな差が生じる可能性があるのだ。


水上は西ルート沿いの建物に潜む狙撃手について図を用いながら何かを説明していた。
よってマップの地形戦における『狙撃』という要素に焦点を当てて議論を進めて行こうと思う。


シミュレーションマップにおけるおススメ狙撃スポット


狙撃手にとって重要な事は主に2つ

『なるべく広い範囲を射程の扇に捉える事』『寄られにくい事』

この2つを同時に満たす行動が『高い建物に上る事』だ。


建物や視界に関連する仕様は以下の通りだと解釈している。


●建物に上る時には高さ『1』につき行動力を『1』消費する。
●『一度』に上る事ができるのは、高さ『2』ずつ
グラスホッパーを持つ場合、『一度』に上る事ができるのは高さ『4』ずつ
●高い建物に上ると視界が広がる。(レーダーに映る『?』ユニットが誰か特定できる範囲が広がる)
●高い建物に上ると足元が死角になる。
●視界の外にいても射程範囲の扇に敵ユニットが入った場合自動攻撃を開始する
●自分より低い建物に斜線を遮られないため、射程範囲が実質広がる。

建物の『高さ』に関連した仕様について(個人的解釈含む)

つまり高い建物に上る時は『行動力』と『時間』を消費するため、敵ユニットはもたつきやすく、その隙に逃げたり仲間の援護を期待する事もできるだろう。

以上の事から、狙撃ポイントとしておススメの条件は『高さ3以上』『周りに視界を遮る建物が無い』であることだと考えた。

以上の2点を踏まえて独断と偏見で選ぶおススメ狙撃スポットは以下の通りとなった。

狙撃のおすすめスポット

【優評価】
●『タワー』

「マップ上で最も高いため視界を遮られない」「グラスホッパーでも一度に上る事ができない」「周囲を高い建物に囲まれているため、攻め入るルートも限られる」
狙撃にとって最高の条件が整っているため文句なしの優評価だろう


【良評価】


●『L字』

射撃戦線に面しているものの高さ『4』で攻められにくく、広い範囲を射程範囲に収めることも可能で、偵察や牽制にもってこいの配置だ。
戦線に平行して狙撃手を配置できるマスが6マスも存在するため、複数の狙撃手を並べる事も可能だ。

●『うらL字』
こちらも高さ『4』でありマップ中央に向けて視界が開けているため、広い範囲を射程範囲に収めることができる。
また、自陣の奥まったところに配置されてるため狙われにくさでもトップクラスだろう。
だたし注意したいのが、この建物は誰でも使える狙撃スポットではないという事だ。

『うらL字』を用いる際の注意点

見ての通りシミュ射程14マスのユニットは、『うらL字』の一番前のマスに配置しても射撃戦線の敵ユニットに絶妙に届かない。
『シミュ射程14』とは『BBF射程7』に相当すると考えられるため、隠岐・荒船・別役はこの建物を利用して戦線に戦闘参加する事ができない。(射程16マスなら真正面にいる敵のみ射程範囲内)

よって『射撃戦線』での戦いを重視する場合、『うらL字』は使いづらい


【可評価】
●『3-乙』『3-戊』
射撃戦線よりも奥にあるため、ミドルレンジの敵から狙われにくく、前線の味方の援護がしやすい

●『3-丙』
正面に『3-乙』があるため射線が制限されるものの、『8屋根』越しに広い範囲を射程に収めることができる。

【不可評価】
●『3-甲』『3-己』
どちらも前線に近すぎて狙われやすい

●『3-丁』『3-庚』
周囲を高い建物に覆われているため、射線がほとんど通らない。


以上おススメの狙撃スポットを纏めたが、これを『マップ東西』の視点で分類するとどうなるだろうか?

マップ東西ともにおススメの狙撃スポットは3か所ずつ存在するが、その質で言うと『自陣東』の方が圧倒的に狙撃しやすいと言えるだろう。


水上がホワイトボードに記したユニットは誰を表しているのか。


先程示した『おススメ狙撃スポット』だが、これを敵陣に当てはめると『敵陣西』沿いに狙撃手が配置されやすい事になる。


つまり水上がホワイトボードに記した敵ユニットの狙撃手A・Bは、マップの地形を踏まえた上で要警戒するべき敵陣狙撃手の配置について解説していたのだ。


そして『西』に厄介な狙撃手が配置されるならば、必然的に『東ルート』沿いの方が敵からの狙撃援護が薄く戦線を突破しやすいはずだ。


『東ルート』を攻めあがろうとしている味方ユニットD・E・F・Gの4体は、敵陣形の火力が低い部分に戦力を集中させて一気に突破する様子を表しているのだろう。


しかし敵狙撃手Aは射程範囲の扇を巡回させており、広い範囲を自動攻撃して複数の戦場に手を出せるようにしている。


ちょうど水上が諏訪7番隊に対して行っていた様に。

ワールドトリガー25巻P56(集英社葦原大介)】

『L字から扇ぐるぐる戦法』は、扇の角度が狭い狙撃手が敵ユニットを射程範囲に収めるためのセオリーの1つなのだろう。


せっかく西の狙撃の隙をついて『東ルート』から攻めあがったとしても、『タワー』や『L字』から巡回してきた扇が『東ルート』沿いに重なるおそれもある。

『東ルート』から攻めあがる味方ユニットF・Gと、敵狙撃手A・B

『東ルート』にコマを集中させ『西』の味方を少なくした場合、敵狙撃手の『扇ぐるぐる』が西の戦場をスルーして『東ルート』の味方F・Gが攻撃されてしまい、敵陣形の火力がカバーされてしまう場合もあるだろう。


それをさせないために存在するのが、狙撃のターゲットを誘引するために自陣西ルート沿いで孤立している味方ユニットCだ。

狙撃のターゲットを誘引して味方の隙を作る囮役の味方ユニットC

宇井「お互いユニット動かして 『射程範囲』に敵が入ると そのトリガーで自動的に攻撃するみたい」
(25巻P21)


『タワー』は優れた狙撃ポイントのため、優秀な狙撃手を配置したくなるが、その選択は敵にタンク役の囮が居る場合に危険な選択になってしまう。

なぜなら強力な狙撃手は射程も長く、意図しない敵に自動攻撃のターゲットを吸われやすいからだ。


そしてシミュレーション演習③の中で、囮役に最も適したヘルプユニットが都合よく存在する。


それが両手レイガストの雪丸だ。


レイガストの防御はかなり高く、パラメータが貧弱な修でも狙撃を最低一発は防ぐ事ができている。(230話)

修のパラメータはトリオンが『2』、防御が『4』。
雪丸の各パラメータは修の2~3倍程度だと思われるため、レイガスト2枚を使えば狙撃の5・6発は余裕で引き受けることができるだろう。

水上がホワイトボードで講義を始めたのはシミュ演習③のデータが運営から送られてきた『後』だ。

つまりヘルプユニットの雪丸を考慮に入れて作戦を立てていた可能性は十分あり得る。



味方5体の内1体がヘルプユニットなら、残りのD~Gは水上9番隊のメンバーだと思われる。


【ユニットD】 自陣『L字』に居る味方ユニット
➡『L字』の上に配置するなら狙撃可能な荒船だろうか?



【ユニットE】 自陣『中通り』以南からミドルレンジを展開する味方ユニット。扇が敵陣『8屋根』をかすめているため射程範囲は『7』マス?

➡射程が『7』マスなのは水上か樫尾。その場にとどまり射撃する様子は水上を思わせる。



【ユニットF】 『タワーうら』を思わせる円の円周から、敵陣『8屋根』あたりまで矢印が伸びた味方ユニット。矢印はおよそ『15』マス程度。
➡この矢印が進行するマスを表しているなら、行動力が『17』と最も多い樫尾が当てはまるだろう。
残行動力は『2』のため、弧月1~2回?、ハウンド1回分?くらいの余力は残っていると思われる。



【ユニットG】 自陣『東ルート』から敵陣『8屋根』まで矢印が伸びたユニット。矢印はおよそ『10』マス程度
➡残りは照屋。照屋の行動力は『16』のため、10マス進行したら残行動力『6』。射撃連携を実行するために十分な行動力が残っている。

またユニットGは射撃戦線に位置しているため、ミドルレンジに秀でた照屋が機を見て敵陣に突っ込む様子に見えなくもない。



よってこれまでの予想を纏めると、水上がホワイトボードに残していた図の戦略上の意図は次の様になる。

水上がホワイトボードに記した図の戦略的な意図の結論


以下今回の記事の結論、水上が講義した内容の予想について。



①戦闘序盤は照屋と水上のユニットで『中通り』を中心とした射撃戦を行う。

②敵陣『タワー』『L字』からの狙撃巡回を、ヘルプユニットを囮にして引き受けてもらう。

③東ルートは狙撃手の援護が薄いはずなので、②の隙をついて照屋と樫尾が『射撃戦線』を一気に突破する。

④自陣『L字』に配置した荒船の狙撃と絡めて、敵陣『8屋根』周囲に一気に火力を集中させる。


VS柿崎隊を見るに『8屋根』等にも東西満遍なく狙撃手が配置されている事もある様だが、それでも『東ルート』の攻めは続行するべきだ。
なぜなら東ルートは全体的に建物が低く狙撃手がいても狙いやすいため、1体でもユニットが前線を突破できればそのまま狙撃手を狙いに行くこともできるからだ。

水上がホワイトボードに記した敵部隊の法則について

今回の記事の最後に『水上がホワイトボードに記した部隊はどこなのか』について考えたい。

ホワイトボードの記載内容の再現(サムネイル用画像)


水上の頭に隠れている部隊を含めると、ホワイトボードに記載のある部隊は6部隊で、内4部隊が○で囲われている。


特に要警戒のチームには○を付けているのだろうが、その場合村上隊と来馬隊に○がついているのに、それより成績が良い二宮隊と歌川隊に○が付く組み合わせにならないのは違和感がある。


更に言うなら戦闘シミュで順位が低い諏訪隊の名前があるのも疑問が残る。


感覚論で述べるなら、この6部隊は単純に強そうな部隊を上から順に並べている訳ではないのだ。



ここでヒントになりそうなのが横に並べて記載されているホワイトボードマップの内容だ。
隊員に講義するなら記載されている図と部隊名は関連していると考えた方が自然だろう。


水上がホワイトボードに記載した戦略は、互いの前線を構築する射撃・近接のユニットと、『L字』『タワー』から狙撃をする敵ユニットを含む、近中遠バランスよく編成された部隊によく当てはまる内容だ。


しかし今度はホワイトボードに村上隊の記載がある事と、村上隊に狙撃手が居ない事の間に矛盾が生じてしまう。


だが待って欲しい、本当に村上隊には狙撃手が居ないのだろうか?


ヘルプユニットを含めて考えて良いなら、村上隊はシミュ①シミュ②共にヘルプユニットに狙撃手を採用している。


『ヘルプユニットを含めた部隊編成の傾向』に、水上が選ぶ6部隊に関するヒントがあるのではないか?


よって次はヘルプユニットに焦点を当てて分析を進めて行く。

各部隊がシミュ①②で選択したヘルプユニット


シミュ①~シミュ②で各部隊が選択したヘルプユニットについてわかる範囲で整理した表だ。

()内の数値は確認できたヘルプ枠の内、そのレンジに割いた枠の割合を示している。


例えばシミュ②で里見を選択した場合、里見は拳銃と突撃銃を装備しているため、クロスレンジに0.5、ミドルレンジに0.5が()内の分子に計上されている。


この表を踏まえて各部隊の編制傾向について調べて行こうと思う。


臨時部隊の中には編成のバランスに囚われず、部隊の尖った強みを発展させた部隊がいくつかある。


それが二宮隊、歌川隊、王子隊だ。


この三部隊はポジションの偏りが激しく、特に二宮隊、歌川隊に関してはヘルプユニットの選択からもその傾向を伺い知る事ができる。


歌川隊は確認できる全てのヘルプ枠をアタッカーに割いており、機動力を重視した部隊コンセプトを一貫して守っている。

二宮隊に関しては初日こそ東さんの助言に従いバランス重視で攻撃手を選択したが、二日目は狙撃手二枚と思い切った編成を実現している。


その2部隊とは逆に編成のバランスを求め、自分の部隊の弱点を補う様にヘルプ枠を選択しているのが村上隊だ


村上隊は自分の隊に狙撃手がいないからか、シミュ①②共にヘルプユニットに狙撃手を選択している。
この選択は明らかに編成のバランスを意識しており、理屈の通った選択をしていると言えるだろう。

鈴鳴第一は近中遠バランスの取れた部隊のため、普段の戦闘の感覚に近づけたい気持ちもあったのかもしれない。


他にも諏訪隊、若村隊、古寺隊にも似た傾向があり、編成のバランスを意識したヘルプ枠の選択が見られる。

具体的に言うと、この3部隊は自隊に狙撃手がいるためか、ヘルプ枠にほとんど狙撃手を選択していないのだ。


この『追加の狙撃手は不要』というバランス感覚については、ドラフト時諏訪さんの『狙撃手は2人いらねえな』というモノローグが端的に表しており、狙撃手というポジションは「居ると助かるが多すぎると扱いづらいポジション」だと言う共通認識がある様に思われる。


諏訪隊や若村隊に関しては元の部隊に狙撃手がおらず、狙撃手が多くなりすぎると普段の感覚に合わないため、ヘルプ枠に狙撃手を採用しづらいという事情もあるのだろう。


また諏訪隊に関して言うと、確認できるヘルプユニットのほとんどが中距離に秀でた駒であり、部隊の弱みであるミドルレンジの克服を意識している様に見える。


逆にシミュ②においてクロスレンジに秀でた諏訪隊は、クロスレンジ持ちの里見を一度も選択していない。


これらの選択をみるに、諏訪隊は強みを伸ばすよりも弱点を補う事を優先するバランス編成志向だと言えるだろう。



サンプルが少ないが柿崎隊、来馬隊についても、ヘルプ枠に狙撃手を一人も採用しておらず、狙撃手過多にならない様に編成のバランスを重視した同様の傾向がみられる。(柿崎隊はシミュ③で加古、黒江、米屋、片桐を選択。片桐を除き狙撃手要素はほぼない。)


北添隊に関しては近中遠が部隊に揃っており元々の編成バランスは整っているが、採用している戦術が独特のため、どちらかと言うと部隊の尖った強みを生かす戦い方をしている部隊に分類できるだろう。



ここまでの議論を纏めると、臨時部隊の中には編成にバランスを重視する隊とそうでない部隊に分けることができる。

ヘルプ枠を含めた部隊編成の傾向


この分割をどこかで見たことはないだろうか?


左の青枠で囲った6部隊は水上がホワイトボードに記載していた部隊の数に合致する。



そう、つまり水上はホワイトボードを使い、近中遠バランスの取れた部隊が取る戦術を予測し、その陣形を攻略するための連携について隊員に講義していたのだ。



水上が名前を挙げている部隊は丸で囲った部隊が4つ、そうでない部隊が2つ。


丸で囲われた部隊は古寺隊、村上隊、来間隊とシミュレーション演習で上位の成績を収めた要警戒の部隊ばかりだ。


つまり水上隊にとって脅威となりうる部隊について丸で囲っているのではないだろうか。


ここで以前Twitterで見かけた『シミュレーション演習の対戦順&勝敗予想』のすごい考察表を引用し、各部隊と水上隊の戦績を整理してみようと思う。


(あきしまz(@akishima221z)さま、快い掲載許可ありがとうございました。)

水上が挙げた6部隊と水上隊との戦績まとめ


若村隊と柿崎隊の内、水上が警戒しているのはどちらか?


水上隊は柿崎隊に対しては2勝、若村隊に対しては1勝1分けであり、ヒュースが指揮した試合で引き分けに持ちこまれている。


つまり水上視点では若村隊の方が脅威に写っているはずなのだ。

水上「注意すんのは射程が長すぎる二宮さんとこと カメレオンが2人いる歌川んとこ あとはヘルプの風間さんか」(25巻P71)


水上は自分の取る戦法がカメレオンと相性が悪い事を意識しており、若村隊にも笹森・若村というカメレオン使いが2人いるため、そういう意味でも警戒を深めたのだろうか。


水上がホワイトボードに名前を挙げた6部隊の予想

強力な敵ユニットを囮が引き付け、敵ユニットの火力が薄い所に味方の火力を集中させ意図的に人数差を作り出す


修が気づいた『最初の戦闘でついた人数差がそのまま勝敗に直結する』というシミュ演習の神髄に水上はとっくに気が付いていたのだろうか?

三浦『でも…… 自力で戦況を動かせるような『強い人』ほど こういうことは意識しにくそうだよね……』(227話)


水上は単体では決して強い駒でないからこそ『陣形の重要性』『人数の有利不利』の要素に意識を向けるという事なのだろうか。



あとがき


ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。


これを読んでくださった皆様が、今後本誌で本格的に展開されるシミュレーション演習の戦闘描写を理解する手助けになれば幸いです。



この記事を執筆中に公式から次回予告があり、そこにとても気になる描写があったためあとがきに追記していきます。



まずは今回の記事で定義した『射撃戦線』について、それがターンを経る毎にどのように変遷していくのか予想を語っていきます。


水上のホワイトボード解明の際に言ったように、自陣東側には狙撃スポットが多く存在するため、東ルート沿いに味方の援護が集中しやすく、味方の戦線は東の方が押し上げやすい事になります。

敵陣にとっても同じことなので、敵の戦線は西の方から南下しやすい事になります。


その様に戦線が推移した場合、マップ中央で均衡していた戦線は徐々に形を変え、互いのユニットがぶつかる位置が少しずつずれていくのでないでしょうか。

戦線の推移の予想


このように戦線は自陣から見て右肩上がりの形状に変化していくと考えます。


そしてこの戦線の形はワールドトリガー公式が予告した231話の冒頭ページの描写に非常に似ています。


シミュ③はユニットが多いせいか回り込みや奇襲の要素が少なく、南西から北東まで切れ目がほとんどない戦線が形成されるのでしょう。



今後更に激しく展開されるであろうシミュレーション演習③に期待が高まります。






(20230303追記)追加記事

【追加記事】231話以降のシミュレーション演習③の戦闘描写の場所特定

シミュレーション演習③ 第3試合
諏訪7番隊 VS 村上10番隊

シミュレーション演習③ 第3試合 諏訪7番隊 VS 村上10番隊

231話冒頭の諏訪7番隊の配置を見ると、マップ右上に香取分隊、マップ中央に諏訪分隊、恐らく『自陣8屋根』あたりに見切れているのが三雲分隊だろう。


試合終了時点で村上隊のユニット24体の内15体が倒されているが、試合終了までの分隊の移動距離を見るに、そのほとんどが香取分隊によって引き起こされた可能性があるのだ。

分隊の配置に注目したユニット配置

諏訪隊と村上隊のユニットの初期配置を見るとマップ南西から北東に向かって右肩上がりの『戦線』が構築されている。


一方香取分隊の位置が始めはマップ北東だが、加古が堤にハウンドを撃つコマ(赤枠)では西の三連民家に移動しており香取分隊が大きく南西に移動している。

香取分隊は進行方向的に北東から南西に向かって移動しており、ちょうど諏訪・村上両部隊のユニットが形成する『戦線』に沿って移動している事になる。


香取分隊は抜群の連携を発揮し堤のユニットをなんなく処理し、最後には三雲分隊を援護する形で熊谷蔵内のユニットに迫る勢いだった。


マップ右肩上がりに形成された『戦線』沿いの敵をもりもり倒しながら香取分隊は南下して行ったのでは無いだろうか。




シミュレーション演習③ 第4試合
諏訪7番隊 VS 古寺6番隊


シミュレーション演習③ 第4試合 諏訪7番隊 VS 古寺6番隊

先日アップした考察記事にて戦闘描写で『高さ』を確定できていなかった『8屋根』の一部の高さを誤って入力していた事が判明した。
図中青枠のコマでは『8屋根』の北列の建物を確認できるが『高さ』は『2』だったため訂正する。


また、図中緑枠紫枠のワイヤー陣に注目すると、本誌でのぱっと見の位置関係はあっている様に見えるが、建物の位置関係を整理すると三雲分隊の位置関係が東西逆になっている。

試合終了後にワイヤー陣の解説が行われたコマはトリガーの仕様を説明するための概略図だったとすれば辻褄は合う。



シミュレーション演習③ 第5試合
諏訪7番隊 VS 来馬5番隊

シミュレーション演習③ 第5試合 諏訪7番隊 VS 来馬5番隊

(20230507追記)追加記事

シミュレーション演習③ 第6試合
諏訪7番隊 VS 二宮8番隊

シミュレーション演習③ 第6試合 諏訪7番隊 VS 二宮8番隊

今回は本格的な戦闘描写が多く、建物の高さを広範囲に判別コマできるコマがいくつもあり、特に東ルート沿いの建物の高さをより正確な値に修正する事ができた。

建物の高さを修正したところ、東ルート沿いの建物が当初の想定よりも低い事が判明した。
つまり当初想定していたよりも、狙撃手は自陣東(又は敵陣西)に集中しやすい事になる。


当初作成した記事では、『高い建物は自陣東と敵陣西に集中しているため、自陣の戦線は東ルート沿いに押し上げられる』という戦術予想を行っていたが、このVS二宮隊ではその傾向が特に顕著に表れていたと言えるだろう。

【20230507改定】シミュレーション演習マップの建物高さ

以降もシミュレーション演習が進行する毎に追記していこうと思います。